2011年4月25日月曜日

もしも「停電の時に電話を使いたい」という要望があったら...(固定電話、携帯電話、衛星携帯電話、アナログ回線、デジタル回線、etc)

ある小規模事業主の方が「公衆電話をオフィスに設置したい。そうすれば停電の時にもお客様と通話できるから」と、おっしゃったそうです。

どんな状況でもお客様へ対してベストを尽くす、という心意気は本当に尊敬して見習うべきと心から思います。しかしながら、もしあなたがIT関連のコンサルタントやエンジニアだった場合、「では御社内へ公衆電話の設置を目指しましょう!」と言って、局番なしの116へ電突するようではいただけません。

事業主様のお客様を想う熱い心を汲み取った上で、氷よりも冷たく状況を分析した上で「適切な答え」を導きださなければいけません。さもなければ「こんなハズじゃなかったのに...」という感じで貴方への期待を裏切ってしまうことになるかもしれません。

1. 本当に公衆電話は停電の時にも使うことができるのか?
基本的に利用できますが、いくつか注意する点があるので詳しくは以下のリンク先を御覧ください。

公衆電話に関するよくあるお問い合わせ(NTT東日本)

ウィキペディア「日本の公衆電話」の災害対策の項も参考に

公衆電話は災害時にも発信規制を受けず優先的に利用出来るようです。しかし公衆電話事業自体が携帯電話の普及などで難しい状況にあるため、大規模な事業者であったり、特別な事情がない限り、小規模オフィスへ公衆電話を設置することはあまり現実的ではないかもしれません。

2. ではどうすれば停電時に電話を使うことができるのか?
(1)一般固定電話を使う
a. NTTのアナログ回線を利用している場合
電話機の通話機能を利用するために必要な電力が電話回線から供給されるため、停電時でも電話を使うことができます。

b. デジタル回線などを利用している場合
パターンは色々あるものの、停電時はデジタル回線および周辺機器へ給電が停止します。この状態で通話を実施するためには「バックアップ電源」などによって回線および機器の稼働に必要な電力を補う必要があります。

興味が有る方は以下のリンク先を参照ください。情報としては個人宅あるいは小規模オフィス向けの情報ですが、問題の概要を掴むためには十分ではないかと思います。

どのタイプの固定電話が停電時に使えるのか?(ITPro)

(2)携帯電話を使う
a. 一般の携帯電話を使う
いわゆるドコモ/au/ソフトバンクです。回線さえ生きていれば、あとはどれだけ予備バッテリーを用意できるかです。気になる点としては、先の震災時に皆さん体験した通り「固定と比べて発信規制が酷くて通話できない」可能性があります。そんな状況をあらかじめ想定の上で「携帯はネット接続のための土管」と割りきって、Facebook/Twitterなどネットのサービスでコミニュケーション出来るように予め準備しておいたほうがいいかもしれません。

b. 衛星携帯電話を使う
例えばKDDIのイリジウムなど「地上の基地局(注)に依存せず通話を確保できる」という意味で震災時のインフラとしては最強候補の一つです。定価20数万の端末代さえクリア出来れば、ランニングコストは思ったほどではありません。

イリジウムの料金(KDDI)

(注)基地局が被災してケータイが使えなくなりましたね。固定のアナログ回線も、電源供給元であるNTT局舎の予備電源が切れた時点で不通になってしまったようです。

3. まとめ
災害対策は常にリスクの発生確率、発生した場合の影響の大きさ、対策コストのバランスですよね。本件では「停電時に電話を使いたい」というお客様へどんな提案をするべきでしょうか?上記した以外にも色々な考え方があると思います。「本当に相手が求めていることは何か?」という点を心に留めて、常に最良の解決策を考えられるといいですね。

おしまい。

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